リッチOL小説~35歳、独身、理紗子の場合②~

リッチOL小説~35歳、独身、理紗子の場合②~

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自慢じゃないが、理紗子の勤める会社は結構ホワイト企業である。

 

悲しいことに縁がないが、育休も2年とれて、復職後の時短勤務や急な休みにも理解を示してくれる。

化粧品会社だけに女性の支持を得られるような会社であろうとしているのだろう。

実際、それは働く側からしても嬉しいことで、毎年新卒採用の時期には他社の倍の応募が来ると人事部にいる同期のエリカが自慢げに言っていた。

 

「うちの会社のいいところはそこだけじゃないの!3か月に1回、すべての社員に研修を受けさせてあげてるんだから!

しかも講師は結構有名どころばっかりなのよ!

そうそう、こないだ挨拶に行った講師の人がイケメンでさぁ…」

 

話し上手なエリカが、イケメン講師とデートにもっていこうとしたのに既婚者だったというオチの話を大笑いしながらしていたなと思いだしながら、

まさに3か月に1回の社員研修の会場である会議室のドアに手をかけた。

 

「今日の研修は語学研修か・・・」

 

買いたてのスターバックスのティーラテを飲みながら、机に配られているレジュメに目を通す。

 

社内英語化を進める有名IT企業よろしく、

理紗子の勤める会社でも英語化の波が押し寄せていた。

 

―英語かぁ・・・英語は結構得意なのよね

 

あまり勉強が好きではない理紗子の唯一の得意教科は英語だった。

 

高校時代、一世を風靡したあのドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」にはまったのがそのきっかけだった。

 

1998年、放映されるや否や、アメリカをはじめ世界中の女性たちの心をわしづかみにしたドラマ

 

20年たってもいまだに誰もが知っている名作ドラマは、当時高校生だった理紗子にとっては衝撃だった。

 

男性に頼らず生き生きとパワフルに働く主人公

 

スタイリッシュでうっとりするようなファッション

 

過激な下ネタもさらっとかっこよく話す4人組

 

理紗子はあっという間にSATCのとりこになり、何度も何度も繰り返しドラマを見続けた。

何度も見ているうちに英語を聞き取るのがうまくなり、テストの点もどんどん上がっていった。

 

そして、ついに理紗子は、大学生になったらNYに留学するという目標を立てたのだった。

留学するのだからと、ほかの科目はほったらかしにして英語ばかり猛勉強した。

その甲斐あって、大学は英語で有名な名門校に合格した。

 

“いつかNYに留学して、キャリーみたいにかっこよく働いてみたい!”

それが当時の理紗子の原動力だった。

 

大学に入ってからも英会話サークルに通ったり、留学の情報交換会に出てみたりと、夢への道を着実に進んでいると思っていた。

あと1年でNYに留学できる!

勉強の合間に家庭教師のバイトもして、現地での生活費の足しにしようと寝るのが惜しいくらい活動していた。

 

―それがあんなにあっけなく終わっちゃうとはね

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