リッチOL小説~35歳、独身、理紗子の場合①~

リッチOL小説~35歳、独身、理紗子の場合①~

リッチOL小説~35歳、独身、理紗子の場合①~

「私の生きている意味って何なんだろう?」

 

思わず出た言葉が一人暮らしのワンルームに響き渡る。

 

藤原理紗子、35歳。

 

丸の内にオフィスを構える結構名前の遠った化粧品会社に勤務している。

 

年収は600万円。

 

同世代の女子に比べたら高めだと我ながら思う。

 

都内の有名大学を出て、念願の化粧品会社に入ったときはもっと希望に満ち溢れていた。

 

大好きなコスメブランドのディレクターになって、

世の中の女の子を喜ばせる商品を連発して表彰されたりして。

 

プライベートでは長年付き合ってる彼氏と30歳くらいで結婚して、子供は2人…

 

自分の人生は予想していたように順調に進むって信じていた。

なのに、

大学3年のころから付き合っている雅人には24歳の時に別れを告げられた。

 

仕事に意欲的で、いつも楽しそうにビジネスの話をしてくる雅人は学生時代からもインターンに積極的で、サークルの仲間が驚くような一流商社の内定をもらってきて驚いたものだ。

 

一流企業に勤める高収入の彼氏

 

友達と話していても、内心「羨ましいでしょ?」って気持ちが隠せなかった。

 

新卒1年目でも年収700万円なんだからあっという間に年収は1000万円に到達するはず!

 

エンゲージリングはカルティエ、ドレスはガリアラハブ。

結婚式は夢のリッツカールトン!

 

 

なんて考えていたのに、

雅人は入社2年目の秋には会社を辞めると言い出した。

忘れもしない。

10年前の1114日。

雅人が見つけてきて、2人のお気に入りだった恵比寿のこじゃれたビストロで、デザートもすっかり食べ終えたタイミングだった。

 

理紗子にとっては青天の霹靂で、少しうわずった声で聞いてしまった。

 

「え…急にどうしたの?

せっかく高い場率を勝ち抜いて入ったのにどうして辞めちゃうの?

やりがいもあるって言ってたし、お給料だって普通の人の倍くらいあるんだから不満なんてないでしょ?」

 

驚く理紗子を見つめながら雅人は落ち着いた声で答えた。

 

「ずっと憧れている起業家の人がいてさ。

やっぱり自分も独立して、自分の実力を試したいし、いろんなビジネスモデルを知りたいんだ」

 

もともと向上心と行動力が人一倍強い雅人にしてみたら当たり前の選択肢だったんだろうなって今ならわかる。

 

目を輝かせながら自分のビジネスプランについて熱弁をふるう雅人を尻目に醜い考えが頭をいっぱいにした

 

―まだ24歳のひよっこが、いきなり独立なんて…上手くいくわけないじゃない

 

このまま会社にいたら20代後半には年収1000万なのに。

 

独立したらカツカツになるんじゃないの?

 

私と結婚する気がないの?

 

そんな収入で結婚するなんて辛すぎるじゃない

 

その考えを見透かされたように、雅人に尋ねられた。

 

「独立してしばらくは今までみたいにはデートできないかもしれない。

 金も厳しくなるかもしれないし、忙しくてなかなか会えないかもしれない。

でも…俺の支えになってくれるよな?」

 

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