リッチOL小説~25歳、ショップ店員、ちえりの場合③~

リッチOL小説~25歳、ショップ店員、ちえりの場合③~

前回のお話はこちら

 

「ちえりは結婚したいんだよね?」

 

「え?」

 

突然の智くんの質問に一瞬声が詰まった。

 

今更そんな質問するなんて…

 

「今すぐとは言わないけど、いずれは結婚したいと思ってるよ。どうして?」

 

年明けにやっと会えた彼はちえりの部屋で別れを切り出していた。

実家で感じた胸騒ぎは的中してしまった。

 

 

15日―

久々に智くんから連絡が入った。

といっても、東京に戻った事を報告するちえりからのラインに応えるようにではあったが。

 

「俺も昨日実家から帰ってきた(^^)近々会って話がしたいんだけど。」

 

無機質な、それでいて笑顔の顔文字に救われる、そんなラインであった。

 

目の前にいる彼の言葉を聞きながら、2日前に送られてきた返事の事を思い出していた。

 

あの顔文字さえなければ、もう少し覚悟ができていたかもしれないのに…

こんな展開はずるい。

 

そんなちえりの気持ちをよそに、

 

「自分自身はまだ結婚に意識が向かない。時間をかければとかそういう話でもない。

ちえりにはもっと合う相手を見つけて、幸せになってほしい。」

 

これだけの事を一気に話すと彼は黙った。

 

暫く沈黙が続いた。

話し合いやちえりの思いをぶつけた所で、智くんの気持ちが動くとは思えなかった。

ちえりの事を気づかいながらも、今日言う事を決めてきたかのような彼の態度に白旗を上げるしかなかった。

 

彼女が言える事はただ一つ。

27歳、振り出しに戻ってしまった。

 

27歳は別れ話が出る時期だと何かの本で読んだ。

自分というものが確立されていく中で、

これまで同じ環境下にあった彼とはすれ違いが起こりやすくなるのだと。

 

それまでに、いかに価値観を共有し二人の世界を作っていくかが鍵となる。

 

しかしちえり自身、あのデート以降彼との未来はこれ以上考えられない、という思いもあった。

この別れはどちらが先に言うかであって、必然であったのかもしれない。

 

長い沈黙を破った。

そしてちえりは智くんとさよならをした。

 

 

いくつかの別れを経て、この寂しさと向き合う対処法は分かっていた。

暫くは泣いてしまう日もあるだろうが、いつかきっと、大丈夫になる日がくるだろう。

 

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