リッチOL小説~35歳、独身、理紗子の場合②~

リッチOL小説~35歳、独身、理紗子の場合②~

会社に入っているカフェテリアでパスタを2人で食べながら、自己紹介もそこそこに理紗子は矢継ぎ早に質問した。

 

「先生はどうやってビジネス英語の講師になられたんですか?

 もともと英語を勉強されていたんですか?

 ビジネス英語ってどうやって勉強するのが一番効率的ですか?」

 

ミセス葉山はくすくす笑いながら「ミズ藤原は勉強熱心ね」と言いながらも、

あけすけに色々な話をしてくれた。

 

26歳までは英語なんてまったく興味がなかったこと

 

夫の海外赴任についていった先のボストンで英会話の楽しさに目覚めてしまったこと

 

帰国後は専業主婦をやめて、英会話教室で働きたいと言って夫に猛反対されたこと

 

「猛反対されたのに、どうして今先生はこのお仕事をしているんですか!?」

 

思わずストレートに聞いてしまった。

 

「私ね、高校卒業した時は美容の専門学校に行きたかったの。

でも親に反対されて短大に進学したの。

 

それから、結婚した時も働き続けたいって言ったのに夫に却下されて諦めたの。

 

この2つがね、忘れようとしても頭から消えてくれなくてね。

ずっと後悔していたの。

あの時、自分の意思を貫いてたらどうなってたんだろうっていつも考えてしまってて。

 

人生の大きい決断を2回も私は諦めてしまった。

 

だから、英会話を教えるって新しい夢だけは、誰に反対されても絶対にやろうって決めたの。」

 

ミセス葉山の凛々しさはこの意思の強さから来ているのだと理紗子は直感で理解した。

 

「じゃあ、旦那さんが折れたんですか?」

 

「夫には内緒で英会話教室で働き始めたのよ。

 朝出勤を見送ってから1時間ですべての家事を終わらせて、

 主人が帰ってくるギリギリまで仕事して、何食わぬ顔で帰宅する主人を迎え入れてね。

 人生で一番ハードな時期だったかもしれないわ。

 夜は朝ごはんとお弁当の仕込みをしてから、ずっと英会話のレッスンの指導方法を勉強して。

睡眠時間は毎日4時間くらいだったわね()

 

「よくそんな生活続けられましたね!」

 

「その生活も8か月で終わっちゃったの。

 英会話教室に夫の同僚の奥様が入会してね。

 そこからあっという間にばれちゃったってわけ」

 

「それで…辞めてしまった?」

 

でも、それならどうして今も講師を、

という言葉が理紗子の口から出る前にミセス葉山が答えた。

 

「辞めなかったわ。

 終わりにしたのは夫との関係の方にしたの。

 8か月だけだったけど、講師の仕事は私にとって人生で一番のやりがいと喜びを与えてくれたの。

絶対に辞めたくなかった。

だから、夫には何度も何度もその想いを伝えたわ。

でも彼が言うのは『でもそれじゃ誰が家のことをやるんだ?』ばっかり。

彼が欲しかったのは人生の伴侶というよりは自分のサポーターだったのよね。

夫はいい人だったけど、私の人生を一緒に歩むパートナーじゃなかった。

だから一緒に歩んでくれる人がいなくていいから、

私は、私の歩きたい道を行こうって決めたのよ」

 

理紗子は頭をガンとたたかれたような衝撃を受けた。

ミセス葉山の言葉が頭の中で何度も響いて、何も言えなくなってしまった。

 

理紗子が静かになった理由を察したのだろうか、

パスタを食べ終えたミセス葉山は席を立つ前に一言言った。

 

「ミズ藤原、あなたはまだ35歳なんでしょう?

そして、あなたを縛る存在は何もない。

それなら何を迷うことがあるの?

人生はやるか、やらないかよ。

もうこれ以上後悔は重ねないようにね」

 

パスタ美味しかったわ、と伝票を手に取り、

ミセス葉山は颯爽とカフェテリアを後にした。

 

理紗子はその場から動くことができなかった。

 

次回:理紗子は後悔しない生き方を決意できるのか!?


第3話はこちら

 

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