リッチOL小説~25歳、ショップ店員、ちえりの場合①~

リッチOL小説~25歳、ショップ店員、ちえりの場合①~

 

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貴重な土曜休み。

年末年始、智くんは実家に帰っていた為、年が明けてから初めて会える日となった。

アパレル店員にとって土日休みは貴重である。特に土日休みの仕事をしている人と付き合っている場合、土日休みは全て恋人に注がれる事になる。

金曜の夜からちえりの家に彼がお泊りに来て、そのまま映画デートの予定であった。

 

土曜の朝、カーテンの隙間から差し込む光で目を覚ます。

隣には最愛の彼が。

これが毎日だったらなぁ…

 

ちえりの中で勝手に妄想が膨らんでいく。

その時、携帯が鳴った。店長からであった。

嫌な予感がする。

 

「白石さん?朝早くにごめんね。今大丈夫?さっき山崎さんから電話がかかってきて、38度以上の熱があるみたいなの。インフルエンザの可能性もあるから今日は休んでもらう事にしたんだけど、今日私とリナちゃん以外はバイトしかいないから、出てきてもらえないかな?」

 

嫌な予感的中。

ぎりぎりの人数で店舗を回す以上よくある事ではあった。以前の店舗では副店長がしょっちゅう風邪を引くものだから、ちえりが出勤日を交代してあげる事は何度もあった。

しかし、その時は大きな予定もなかったから、ちょっと思う所はあっても我慢できたのだ。

 

彼と久々にデートする事は店長にも前日に話していた。その上で電話をかけてくるという事は、そういう事だよなぁ…

 

結局この日智くんと映画デートは実現しなかった。

優しい彼は必死で謝るちえりに

「気にしないで。お仕事頑張ってきてね」と言って帰っていった。

余計に申し訳なくなった。

 

私は一体誰の人生を歩んでいるのだろう…?

 

大げさかもしれない。

別に子どもの入学式とか親の葬式に電話がかかってきた訳じゃないんだし。

 

それでも、今この時の彼との時間は自分にはとても重要な事であった。

 

私の人生は私が主役じゃないのかな。

朝の電車の中でちえりは思った。

3年間のアパレル販売員としてのキャリアは、ちえりにとってかけがえのない経験であった。しかし本当にやりたい仕事かと言われるとそうではない事も事実であった。

 

このまま休日も給与も仕事内容も納得のいかないまま人生が進んでいく事に恐怖を感じた。

 

25歳。変わるなら今しかない。

その日ちえりは、店長に退職の意向を伝えた。

 

仕事を変えればきっと私の人生は変わる。

この時のちえりはそう思っていた。


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